The Japanese Classics

古文 勉強法

古文 勉強法

中学の国語と高校の国語で大きく異なるのは、「現代文」と「古典」に分かれるということです。中学国語では、「古典」は単なる単元の一つで、古文単語や古典文法をあまり深く扱わないため、文章読解では概要を捉えるだけでした。高校に入って初めて古典文法を学習することになるため、文法要素の多さに戸惑った人も多いのではないでしょうか。
日東駒専レベル以上の大学では、文系学部において古文が科目指定されている大学が多くあります。この記事では、BROUTEで指導している内容をご紹介します。

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古文は日本語か。

古文は昔の日本で使われていた言語で、れっきとした日本語です。しかし、本当にそうだと言えるでしょうか?
例えば土佐日記の冒頭部分。
「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」
現代語訳は、
「男がするという日記というものを、女(である私)もしてみようと思ってするのである。」

この訳を作るのに必要な単語は、す=する、書く です。

同様に、必要な文法事項は以下のものです。
・すなる=サ変動詞の終止形 + 助動詞。「なる」の直前が終止形ということは、終止形接続の助動詞である「伝聞・推定」の「なり」の連体形。訳は「~という」
・みむ=マ行上一段動詞「みる」の未然形 + 推量の助動詞「む」の終止形。訳は「~みよう」
・するなり=サ変動詞の連体形 + 助動詞。「なり」の直前が連体形ということは、連体形接続の助動詞である「断定」の「なり」の終止形。訳は「~である」

このように、現代語訳を作るためには、単語と文法知識が必要であり、さらにそれらを文章の中で識別するための読解演習も必要です。

つまり、古文で勉強すべきなのは、単語と文法と読解演習。
これはもう、ひとつの「外国語」と考えた方が取り組みやすいのではないでしょうか。

古文の勉強法

「古文は日本語」という意識はもう捨てましょう。これからは外国語と同じように考え、単語や文法の習得を目指した方が取り組みやすいと思います。

古文学習の柱は次の4つです。
1、単語
2、文法
3、読解演習
4、常識

それでは各内容をご説明します。

古文単語の覚え方

古文の文章に出てくる言葉は次の3つに分類できます。
1、現代語にもあり、古文での意味と同様の単語。
2、現代語にもあるが、古文での意味と異なる単語。
3、現代語にはない単語

このうち、1の現代語と同じ意味のものは覚える必要がありませんよね?現代語と同じなのですからそのまま訳せるはずです。
古文単語で覚えるべきものは、2の現代語と意味が異なるものと、3の現代語にはない単語です。
現代語と意味が異なるものは特に入試に出題されやすいですね。

例として、「ありがたし」の意味はどうでしょうか?

正解は「めったにない」です。
このように、現代語と意味が異なるものは、文章読解にも関わるため非常に重要なのです。

では、その覚え方。

それは、「由来を覚えること」です。

先程の「ありがたし」という単語は漢字で書くと「有り難し」です。「有ること」、つまり存在が難しい、という由来で「めったにない」という意味になります。

他には、
「うし」    漢字は「憂し」=「つらい」
「おろかなり」 漢字は「疎かなり」=「いい加減だ」
等、漢字表記を含めた由来を覚えると、古文単語も意味を正確に取ることができます。

古典文法

中学国語では曖昧だった文法ですが、高校では品詞ごとに学習し、文法を覚えていくことになります。
古典文法の中での大きな柱は、「用言」と「助動詞」です。


まずは、用言の文法をしっかり覚えましょう。用言の文法とは、活用の種類、活用形のことです。
具体的には、
四段活用:a i u u e e
上一段活用:i i iるiるiれiよ
という表を暗記しましょう。これは声に出して何度も練習するとすぐに覚えられます。

また、文法のテキストを使って用言の活用の種類と活用形を見分ける問題をたくさん解きましょう。
オススメのテキストは、こちらです。
ステップアップノート 古典文法基礎ドリル

用言の活用をしっかり覚えたら、次は助動詞の活用です。
助動詞の活用は、一部を除きほとんどは用言の活用型となっています。つまり、用言の活用がしっかり暗記できていたら、助動詞の活用もすぐに覚えられるということです。
なお、こちらも声に出して練習するといいです。

声に出して言えるようになったら、先程の文法のテキストで、意味と使い方を習得していきましょう。
例えば、「る」という助動詞には、「受け身」「自発」「尊敬」「可能」の4つの意味があります。文章中に「る」が出てきたときに、4つの意味のうちどの意味なのかの判別方法を覚えていくのです。

助動詞の意味と活用をしっかり覚えたら、次は助詞です。
その後はテキストに従って、助詞、敬語、識別と進めていきます。

古文読解

単語、文法のテキストが一通り終わったら、読解演習に入ります。
この段階で古文がスラスラ読めるようになるわけではありません。なぜなら、古文読解には、学習が必要な読解方法があるからです。

古文読解については、読解のテキストでその技術を習得します。
オススメのテキストはこちら
マドンナ古文 入試解法

例えば、古文読解において、まず躓く要素が「主語の省略」です。古文では、現代語以上に主語が省略されています。文章を読む際に、この行動は誰の行動か、主語をしっかり把握していないと、文章の内容がうまくつかめません。

このように、古文読解にはいくつかのポイントがありますので、読解演習のテキストを使って学習していきます。

古文常識

読解の手助けとなるのが「古文常識」です。古文常識とは、古文が書かれた古代や中世の時代には常識となっていた、言葉や生活様式や習慣などの文化のことです。 

例えば、時刻の表し方です。
現代では時計があり、一日24時間で生活しています。時刻は数字を用いて午前0時~午前12時、午後0時~午後12時で表現しますよね?

昔の日本では、時刻の名前には数字ではなく十二支で表していました。現在の午後11時~翌午前1時の2時間を「子の刻」といいます。このように24時間を2時間ずつに分け、それぞれに十二支を割り当てて、時刻を表現していました。

このような、単語とも文法とも言えない知識を「古文常識」と呼んでいます。この古文常識が直接入試で問われることはあまり多くないのですが、「古文常識がないと文章の意味が全く分からない」という事態はよく起こります。
古文の読解をしていく上で非常に重要な知識となるため、きちんとした学習が必要です。
オススメのテキストはこちら
マドンナ古文常識217