Politics and Economy

政治経済 勉強法

政治・経済 勉強法

大学受験において、社会は暗記科目だと言われています。確かに暗記しなければいけない要素は多いのですが、「ただ覚える」という認識だけでは、政治・経済はうまく得点できません。なぜなら、政治・経済は似たような用語が多く、それを区別するための「背景知識」が重要な科目だからです。この記事では、BROUTEで指導している内容をご紹介します。

pixta_72415005_M

科目紹介

政治・経済は、中学社会の「公民」を発展させた科目です。中学の公民では、政治分野と経済分野について学習しました。政治分野では、日本の三権(行政権、司法権、立法権)について学習し、経済分野では、市場の仕組みを学習しましたね?高校の政治・経済では、中学の公民の内容を発展させます。日本だけではなく、世界主要国の政治の仕組みや、その制度が成り立つ背景を学習したり、様々な状況における市場原理を学習したりします。
当然、中学のときに学習した基礎的な用語が再度出てきますので、中学レベルの知識は必要です。公民が苦手だった人は、大学受験で使うかどうかを慎重に考えましょう。
政治・経済という科目は、社会の仕組みを学ぶ科目です。受験勉強の中で身につけた知識や思考力は、現代文や小論文の土台にもなり、将来的に必ず生きてきます。また、歴史科目に比べると、覚えなければいけないことは確実に少ないため、最もコストパフォーマンスが高い科目と言えるでしょう。

政治分野

行政権、司法権、立法権の三権について、その成り立ちとともに詳しく学習します。日本の政治の仕組みや、それを規定している憲法について、また、政治の諸問題について学びます。
主な単元は下記の通りです。
1.民主政治の基本と原理
2.人権保障の発展
3.日本国憲法
4.基本的人権の尊重
5.平和主義
6.日本の政治機構
7.地方自治
8.国際政治

経済分野

市場原理について詳しく学習します。例えば、中学公民ではインフレを学習しましたが、高校の政治・経済では、インフレの原因や程度によって分類し、市場への影響を詳しく学びます。
主な単元は下記の通りです。
1.資本主義と社会主義
2.経済主体と株式会社
3.市場機構
4.国民所得と経済成長
5.通過と金融
6.財政
7.労働問題、社会保障
8.国際経済
9.環境・人工・資源エネルギー問題

政治・経済は「理解」の科目

政治・経済は他の社会の科目よりも、「理解」が重要視される科目です。基本的な用語や制度といった、最低限の暗記は必要ですが、その用語や制度を覚えるためには、まず「理解」する必要があります。

センター試験を例に見てみましょう。

問 憲法に関連して、日本の裁判所による違憲審査に関する記述として以下の文は正しいか。(センター試験改題)

『最高裁判所は、長沼ナイキ基地訴訟において、自衛隊の存在を違憲と判断した。』

この問題に答えるためには、まず長沼ナイキ基地訴訟について正確に理解していなければいけません。ちなみに、この問題の答えは「正しくない」です。

長沼ナイキ基地訴訟は、自衛隊の違憲性に関する裁判です。政府が北海道長沼町にミサイル基地を建設するため、保安林を解除し、住民が取り消しを求めました。
地方裁判所:自衛隊は「違憲」
高等裁判所:憲法判断を回避 → 「統治行為論」が根拠
最高裁判所:二審判決を支持

ということで、最高裁判所の判決は「違憲とは判断していない」ので、この問題文は正しくありません。

ただ、これらのことはもっと深い背景があります。
・第二次世界大戦の敗戦国として、GHQの意向を受け入れた。
・憲法9条により、侵略戦争の禁止、戦力の不保持、交戦権の否認が規定された。
・冷戦の激化によりGHQの意向が変化し、警察予備隊が組織された。
・警察予備隊は保安隊を経て、自衛隊になった。
・学会、政府、国民によって、自衛隊が違憲か合憲かは意見が異なる。
・近年、東アジア情勢が緊張状態にあり、自衛隊の存在は必要性が増している。
・地方裁判所は違憲判決を出した。
・高度に政治的なものは違憲審査になじまない、ということで高等裁判所は判決を出していない。
というような、政治家が議論するであろう難しいことが背景としてあります。これらの背景、議論、考え方をきちんと理解していなければ、この長沼ナイキ基地訴訟の経緯は覚えられないでしょう。

政治・経済は、社会の仕組みを勉強する科目です。社会の仕組みの中では、制度や法律について学習していくことになります。
あらゆる制度や法律は、それらが制定される背景や経緯が必ずあります。そういった背景知識がないただの丸暗記では、問題にきちんと答えることができません。制度や法律の背景を学ぶということが、政治・経済の科目の勉強なのです。

政治・経済勉強法

BROUTEでオススメする政治・経済の勉強法は、「即出し法」です。
ひとつの単元で参考書、問題集を使ってインプットとアウトプットを両方取り組む方法です。

1. 参考書で知識をインプット

政治・経済の勉強は、まずインプットから始めましょう。学校の教科書でもいいですが、堅い言葉遣いが難しく感じる人は、市販の参考書をオススメします。テキストに書かれている内容をよく読んで理解し、頭に入れていきます。
このとき、覚えるために重要事項をノートにメモすることもいいでしょう。「書いて覚える」作戦ですね。ただし、テキストの内容を写すような「ノートまとめ」はオススメしません。上にも書きましたが、政治・経済は用語や制度の背景知識が重要です。そういった背景知識は量が多く、ノートにまとめるのは膨大な時間がかかってしまいます。きれいなノートを作ることにこだわりすぎないようにしましょう。
オススメのテキスト
・『陰山のセンター政治・経済 パワーアップ版』  学研

2. 即出し法

即出し法は、インプットした後、即、アウトプットする勉強法です。上で紹介した教材や教科書や参考書でインプットします。そしてすぐに、インプットした単元と同じ単元の問題を解くのです。例えば、憲法について学習したら、すぐに問題集に取り組み、同じ憲法についての問題を解きましょう。
人間の脳は、利用価値が高い、と感じたものもよく覚えている傾向にあります。せっかくインプットしたものも、ただ覚えただけでは利用価値が低く、時が経つと忘れてしまいます。そこで、すぐに問題を解く、つまり覚えた事柄の利用価値を高めることで、忘れにくくするのです。
オススメのテキストは以下の通りです。
・『スピードマスター 政治・経済』 山川出版
・『シグマ基本問題集 政治・経済』 文英堂

地理受験者は必携!「用語集」

政治・経済には、似たような用語がたくさん出てきます。例えば「インフレ」という現象は、その原因や程度によって分類され、「~~インフレ」という用語は全部で12個あります。もちろん参考書の中に説明がありますが、問題を解いたあとの確認としては、用語が一覧でまとまっているものの方が適しています。一問一答の練習にもなるので、必ず用語集を用意しましょう。
高校生向けの電子辞書を購入すると、その中にすでに政治・経済の用語集が登録されていると思います。本の形式の方が参照しやすければ、本を購入してもいいでしょう。