Modern Japanese

現代文 勉強法

現代文 勉強法

受験生の皆さん、現代文の勉強はしていますか?していない人がほとんどではないでしょうか。

文系の学部では、多くの学部で現代文が指定されています。センター試験でも文系や国立大学ではほぼ必須。

それにしても関わらず、「現代文の勉強はしていない」という人が多いのは、現代文の勉強法が分からない、という人が多いからだと思います。

この記事では、BROUTEで指導している内容をご紹介します。

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現代文は勉強するの?

入試のために現代文を勉強していない、という人にその理由を尋ねると、以下のような理由を挙げる人がほとんどです。


・現代文は読めば分かるから、勉強しなくてもいい。

・現代文の勉強は何をやればいいのか分からない。

・現代文を勉強しても得点を伸ばせる気がしない。

・現代文は国語のセンスが重要だから、勉強しても伸びない。

・現代文は漢字と語句だけ覚えればいい。

・現代文の問題集を解いても、同じ問題は出ないからやる意味はない。

・読書が好きで、小説はよく読むから、文章の読解には自信がある。


これらの意見を持つ気持ちは分かります。実を言うと、私もかつてはそう思っていました。

しかし実際には、現代文にはきちんとした勉強法があり、それにそって勉強すれば、確実に現代文の点数を伸ばすことができます。その方法をお伝えします。

現代文の出題者は何を見ているの?

「英語」という試験科目で測定されるのは当然、英語の能力です。具体的には、単語や文法の知識、英文の読解力、リスニングの能力、英作文の能力等です。「英語の運用能力」と言ってもいいですね。

では現代文ではどうでしょうか?出題者が測定したいのは、受験生のどんな能力でしょうか?

現代文の試験で測定されるのは「日本語の運用能力」ではありません。外国人留学生ではなく、普通の日本人であれば、日本語がきちんと読み書きできるのは当たり前だからです。


では、何の能力か。それは、「論理力」です。

論理とは

説明のために、小学生レベルの問題を1題見てみましょう。

問、次の文の(  )に当てはまるものを選べ。
今日はとても良い天気だ。だから(    )。
A、家でゲームをして遊ぼう。
B、たくさん勉強しよう。
C、サッカーをしよう。

簡単ですね?答えはもちろんCです。

では、この答えを選ぶときに注目した部分はどこでしょうか?

「良い天気」と「だから」ですよね?
「良い天気だから室内で行動する」ということは、「話の筋道が通らない」と考えたはずです。

こういった考え方を「論理」と言います。「論理」とは「話の筋道」のことです。

現代文は「論理」の科目

話の筋道のことを論理といい、「話の筋道を正しく理解する力」を「論理力」と言います。入試で出題される「評論」は、話の筋道が通った論理的な文章ですから、その文章を正確に読み取ることができるかどうかで、受験生の「論理力」を測定するのです。

つまり、現代文は「論理の科目である」と言えます。

すると、現代文の解き方は、
「本文にAと書いてあるから、この設問はアが正しい」
「本文に筆者の主張が書かれていて、選択肢イは逆の内容を言っているので、これは間違い」
というように、本文に答えの根拠を取り、論理的に考えて答えを導き出すのです。


では試しに、実際の大学入試レベルの問題を1題見てみましょう。

問、下の文の(A)に当てはまるものを、下記の選択肢から選べ。 

時宗の僧侶は合戦に同行する僧侶でもあった。武士が戦場で命を落とすようなことがあれば、すかさず念仏を唱え、浄土に旅立つための一連の始末を請け負っていたらしい。(A)、ただ戦に同道するだけで貴重な兵糧の世話になり続けるというのも不自然であり、おのずと宗教方面のみならず、負傷者の手当や日常の世話、そして芸術諸方面の活動をも担うようになった。

ア、あながち
イ、つまり
ウ、しかし
エ、さながら

(青山学院大学)

いかがでしょうか?

ここで、適当に選んではいけません。本文に根拠を取り、論理的に考えるのです。

空欄(A)の前は、僧侶の本来の役割が書かれています。僧侶の役割は、「念仏を唱え、戦死者の魂を浄土へ送る」ことです。空欄(A)の後には、他の活動が書かれています。僧侶の活動は、「負傷者の手当や日常の世話、芸術活動」とあります。
空欄(A)の前後ではどのような関係になっているでしょうか。
「念仏を唱えるのみ」と「様々な活動」で逆の内容になっていますね?
ということは、空欄(A)に入る接続詞は逆接となり、ウしかし が答えとなります。

このように、本文に根拠を取り、順序立てて考え、答えを導き出すのです。

現代文の勉強とは

現代文が論理の科目である、ということは、先程挙げた、現代文は勉強しなくてよいといういくつかの理由は、全て間違っているということが分かります。

・現代文は読めば分かるから、勉強しなくてもいい。
 → 間違い。複雑な論理構成はひと目見ただけでは分からない。論理を勉強する必要がある。
・現代文の勉強は何をやればいいのか分からない。
 → 論理的思考を鍛える。本文を読み、論理に基づいて答えを出す練習をする。
・現代文を勉強しても得点を伸ばせる気がしない。
 → 間違い。論理力を鍛えれば、得点を伸ばせる。
・現代文は国語のセンスが重要だから、勉強しても伸びない。
 → 間違い。論理力に国語のセンスは全く関係ない。むしろ、センスに頼らず答えを出す方法が論理である。
・現代文は漢字と語句だけ覚えればいい。
 → 間違い。文章読解は論理が重要である。
・現代文の問題集を解いても、同じ問題は出ないからやる意味はない。
 → 間違い。確かに同じ問題は出る可能性が低いが、問題を多く解いて論理力を身につける必要がある。

いかがでしょうか?現代文の勉強に対する誤解は解けたでしょうか。

現代文の勉強法

現代文の勉強に対する誤解が解けたところで、勉強法について書きたいと思います。

ここまで読んでいただけたところで、もうはっきりしていると思います。
現代文の得点を伸ばす勉強法は、「論理力を伸ばす」勉強をすることです。

オススメのテキストは以下の通り。
出口 レベル別 中学
高校
論理文章能力検定

まず、これらのテキストに難易度の低いものから取り組みましょう。
論理が重要な問題をたくさん解き、論理力を鍛えることが、現代文の勉強法の第一歩です。

そのときに、重要な注意点が一つ。
それは、「必ず根拠を持って答える」ことです。

「正解が分からないから適当に選ぼう」
「この選択肢はアかな?イかな?本文にある単語がなんとなくアに近いかな?」
といった「なんとなく」「適当に」答えを選ぶのでは、論理力は向上できません。
間違っていても構わないので、必ず根拠を持って答えることで、論理力を向上させることができます。

小説問題の考え方

現代文の勉強についてのよくある誤解の一つに、
・読書が好きで、小説はよく読むから、文章の読解には自信がある。
といったことも挙げられます。

これは大きな誤解です。なぜなら、「小説を読むこと」と、「小説問題を解くこと」は全く違うからです。

一つ質問します。読書(小説)の楽しさとは何でしょう??

小説を読むことの魅力は数多くあると思いますが、私の個人的見解としての一番の魅力は、
「登場人物に共感し、その小説世界を楽しめること」だと思います。

私達が小説を読むときは、1ページ目から読み始め、次第に主人公や他の登場人物の性格や人物像を頭の中にイメージしていきます。そうして登場人物に感情移入し、物語が進んでいくことと思います。感情移入ということは、自分の気持ちが登場人物の気持ちを合うわけですから、言い換えると「小説を主観的に読んでいる」ということになります。

では、小説問題はどうでしょうか。

長い小説のほんの一場面が、いきなり目の前に出され、主人公の心情が把握できたかという出題がなされます。しかも、その心情は直接的には表現されず、動作やセリフによって描写されます。

それにも関わらず、普段小説を読むように小説問題を読むと、その主人公に対して主観的な捉え方をしてしまうために、様々な捉え方をしてしまうのです。
小説問題を解くには、本文の描写を客観的に捉えるのです。

例えば、次の例を見てみましょう。

今日は数学のテスト返却日だ。A君は暗い顔をしてテストを受け取った。
彼に点数を聞いたら、90点だったと言っていた。

問、テスト返却時のA君の心情を答えよ。
ア、うれしい
イ、楽しい
ウ、悲しい

ここで、「自分だったら、テストで90点を取れればどんな気持ちだろう?」という考えは主観的な考えです。
本文の「暗い顔」に注目し、暗い顔=いやな気持ち=悲しい というように考えます。このように、「自分だけ」の考えではなく、本文にある「誰が見ても、そう判断する」という客観的描写を捉えるのです。
当然、本文を客観的に捉えることは、論理的思考と関わってきます。
小説問題を解く上でも、論理は非常に重要なのです。