倫理 勉強法
倫理 勉強法
大学受験において、社会は暗記科目だと言われています。確かに暗記しなければいけない要素は多いのですが、日常生活ではあまり使わない言葉が倫理には多く出てきます。また、人物名、考え方、書物が重要であるため、「ただ覚える」というよりは、思想の根底にある考えや背景を理解する、という意識が大切です。この記事では、BROUTEで指導している内容をご紹介します。
受験科目に注意
倫理は、受験科目として使える大学が限られています。特に私立大については使える大学が非常に少ないので注意が必要です。自分の志望する大学で倫理が使えるかどうか、必ず確認してください!
国公立大学 文系
<センター試験>
国公立大では、通常、5教科7科目が指定されています。文系の学部では、地歴・公民の中から2科目を選択する場合が多いです。
例その1:千葉大学 法政経学部
日本史B、世界史B、地理B、「倫理、政治・経済」から2科目
※「倫理」単独の選択はできません。政治経済とのセット科目である「倫理、政治・経済」となります。
◎アドバイス 歴史を2科目学習するのは大変です。歴史は1科目にし、『日本史と倫政』か『世界史と地理』がオススメです。
例その2:茨城大学 人文社会科学部
日本史A、日本史B、世界史A、世界史B、地理A、地理B、現代社会、政治・経済、倫理、「倫理、政治・経済」から2科目 ただし、公民から2科目は不可
※「倫理」単独の選択ができます。
<2次試験>
2次試験で「倫理」だけが指定されることはまずありません。必須科目として指定される可能性があるのは、日本史と世界史くらいです。
選択科目としては、東京学芸大学の一部の学科で使用できますが、それ以外の大学ではほとんど使用できません。
国公立大学 理系
<センター試験>
国公立大では、通常、5教科7科目が指定されています。理系の学部では、地歴・公民の中から1科目を選択する場合が多いです。
例その1:千葉大学 理学部
日本史B、世界史B、地理B、「倫理、政治・経済」から1科目
※「倫理」単独の選択はできません。政治経済とのセット科目である「倫理、政治・経済」となります。
◎アドバイス 理系の生徒が歴史をやるのは暗記量が多く大変です。覚える量が少ない『倫政』か『地理』がオススメです。
例その2:千葉県立保健医療大学 看護学部
日本史A、日本史B、世界史A、世界史B、地理A、地理B、現代社会、政治・経済、倫理、「倫理、政治・経済」から1科目
※「倫理」単独の選択ができます。
私立大学
<一般入試>
ほとんどの大学で使用できません。関東圏では、日本大学文理学部の一部の学科、専修大学人間科学部の一部の学科、上智大学の一部の学科くらいしか使用できる大学がありません。
例その1:日本大学 法学部
日本史B、世界史B、地理B、政治・経済から1科目
※「倫理」の選択ができません。
例その2:日本大学 文理学部
日本史B、世界史B、地理B、倫理、政治・経済から1科目
◎アドバイス 受験校選択(滑り止め)のことを考えると、多くの大学で共通している入試科目を選ぶのがいいでしょう。私立文系志望ならば、倫理を選択することはオススメしません。
<センター試験利用入試>
多くの大学で使用できます。ただし、センター利用は滑り止めの大学を確保するために受験するので、一般入試で使える大学は少ないという点から、倫理はオススメしません。
科目選択まとめ
私立大学では、受験科目として使用できる大学が非常に少ないので、私立大学一本で受験する人は、倫理はオススメしません。
国公立大では、比較的レベルが高い大学では政経とのセット科目である、「倫理、政治・経済」が使用できます。レベルが高くないところでは、「倫理」単独の選択もできます。
歴史科目と比べると、覚えなければいけない量が少ないため、公民に時間をかけたくない生徒にとっては取り組みやすい科目です。
科目紹介
倫理は、人間の「思想」について学ぶ科目で、高校で新しく学習する内容です。世界史や地理などで、キリスト教やイスラム教がどの国なのか、ということには触れますが、宗教の教えの中身まではあまり深く学習しません。倫理は思想を学ぶ科目ですから、その中のひとつとして宗教についても扱います。思想の内容は、現代の高校生にはあまり馴染みがない言葉や考え方も多く、理解したり覚えたりすることが大変かもしれませんが、宗教の違い(=考えの違い)というものを深く学ぶことで、現代の世界の諸問題について教養を深めることができます。ある程度の暗記は必要ですが、歴史科目に比べると、覚えなければいけないことは確実に少ないため、興味がわくと取り組みやすい科目と言えるでしょう。
倫理の科目は、青年期、世界の思想、日本の思想、現代社会と4つの大きな単元に分かれています。詳しくは下記の通りです。
青年期
青年期の課題と人間形成について学びます。保健や家庭科で習う内容と重複しますが、アイデンティティやモラトリアムについて学習します。
世界の思想
世界の思想について、人物、書物、考え方を学びます。哲学の成り立ちから始まり、世界で信仰されている宗教、民主主義や産業革命も関連した現代の思想も扱います。
思想というものは、いきなり何の脈絡もなく、ポンと生まれてきたりはしません。戦争・迫害・社会情勢の激変など、時代の必要性から必然的に生まれてきます。思想を学ぶために背景となる出来事を学んでいきます。
主な単元は下記の通りです。
1.古代ギリシア思想
2.キリスト教思想、イスラム
3.古代インド思想
4.古代中国思想
5.西洋近代思想の成立、展開
6.現代の思想
日本の思想
日本史でも触れる内容ですが、古代日本では仏教が政治に大きく影響しています。この章では、そのような時代背景から日本と仏教の関わりを学んでいきます。
主な単元は下記の通りです。
1.仏教の受容
2.日本仏教の展開
3.江戸時代の思想
4.日本近代の思想
現代社会分野
この章では、現代の日本の思想や社会の諸問題について学びます。戦後、日本は高度経済成長を経て、先進国となりました。その過程での国民性の変化や他国との違いを学びます。また、環境問題やクローン動物、少子高齢社会等、現代の諸問題を背景として、その考え方を学習します。
主な単元は下記の通りです。
1.日本の伝統文化
2.現代社会の特質
倫理勉強法
BROUTEでオススメする倫理の勉強法は、「即出し法」です。
ひとつの単元で参考書、問題集を使ってインプットとアウトプットを両方取り組む方法です。
1. 参考書で知識をインプット
倫理の勉強は、まずインプットから始めましょう。学校の教科書でもいいですが、堅い言葉遣いが難しく感じる人は、市販の参考書をオススメします。テキストに書かれている内容をよく読んで理解し、頭に入れていきます。
このとき、覚えるために重要事項をノートにメモすることもいいでしょう。「書いて覚える」作戦ですね。ただし、テキストの内容を写すような「ノートまとめ」はオススメしません。上にも書きましたが、倫理は用語や制度の背景知識が重要です。そういった背景知識は量が多く、ノートにまとめるのは膨大な時間がかかってしまいます。きれいなノートを作ることにこだわりすぎないようにしましょう。
オススメのテキスト
・『陰山のセンター倫理 パワーアップ版』 学研
2. 即出し法
即出し法は、インプットした後、即、アウトプットする勉強法です。上で紹介した教材や教科書や参考書でインプットします。そしてすぐに、インプットした単元と同じ単元の問題を解くのです。例えば、キリスト教について学習したら、すぐに問題集に取り組み、同じキリスト教についての問題を解きましょう。
人間の脳は、利用価値が高い、と感じたものもよく覚えている傾向にあります。せっかくインプットしたものも、ただ覚えただけでは利用価値が低く、時が経つと忘れてしまいます。そこで、すぐに問題を解く、つまり覚えた事柄の利用価値を高めることで、忘れにくくするのです。
オススメのテキストは以下の通りです。
・『スピードマスター 倫理』 山川出版
・『シグマ基本問題集 倫理』 文英堂