漢文 勉強法
漢文 勉強法
大学受験の一般入試において、漢文が必要な受験生は、実はそれほど多くはありません。国立大学のセンター試験と、私立大学では早慶レベルの一般入試、GMARCHレベルの文学部系統の入試等で指定されているのみです。その受験生の少ないことが原因か、漢文を勉強している人が少なく、とっつきにくい印象があるかもしれません。しかし、漢文の勉強は覚えることが少なく、短期間で実力をつけることができます。
この記事では、BROUTEで指導している内容をご紹介します。
そもそも漢文とは?
漢文とは、古代の中国の文章を学習する科目です。「日本人の我々が、なぜ中国の昔の文を読まねばならないのか…」と疑問に思うかもしれませんが、実は漢文というものは、江戸時代までの武士の教養の一つでした。
漢文の文章の多くは、古代中国の中でも「知識人」に向けて書かれたものです。古代中国の庶民の識字率は低かったため、漢文の読者は「知識人」、つまりは統治者である「君主」とその「臣下」だったということです。
そのため、漢文の文章内容は、「政治のあり方」について書かれているものが多く、他には「個人のあり方」や「学問への姿勢」、「道徳に関する主張」等、教訓のような内容が書かれています。これらの文章を正確に読み、内容について議論することが、江戸時代までの武士の間で行われていたのです。
また、中国は漢字の発祥の地であり、現在私たちが使っている漢字や言葉、四字熟語も中国に由来するものが多くあります。そのような由来を知ることで、今の教養を深められるのが漢文なのです。
漢文の基礎の基礎は、中学国語と古文の文法
漢文学習の基礎の基礎にあたるものが2つあります。中学国語と古文の文法です。
中学の国語では、漢文に関しての返り点について学習します。漢文は古代中国語ですから、日本語とは文字の読む順番が異なります。それを日本語と同じ順番で読めるように指示する記号が返り点です。
例えば…
日本語で「私はあなたを愛しています。」という文章は、主語+目的語+述語動詞で構成されています。英語学習で使う記号を用いると、「SOV」です。
この文の意味を表す中国語は「我愛你」です。(ちなみに読み方はウォーアイニー)
漢字の意味からなんとなく分かるかと思いますが、この文章は主語+動詞+目的語となっています。英語学習で使う記号を用いると、「SVO」です。
日本語とは、言葉の順番が違うので、返り点で順番を変える必要があるということですね。
ちなみに、同じ意味の英語は「I love you.」で「SVO」の構成です。中国語の文法は、日本語よりも英語に近いと言えますね。
もう一つの大事な基礎は、古文の文法です。
例えば、漢文には、「也」という文字があり、断定の助動詞「なり」を表します。
ここで、古文の文法知識が関わってきます。
「不可~~」という表記のときは、「~べからず。」と読みます。
「不可~~也」という表記のときは、終わりに断定の「なり」がついているので、打消の「ず」は連体形になり、「~べからざるなり」と読みます。
このように、書き下し文では、用言や助動詞の活用、接続の知識が関わってきます。ですから、漢文を学習し始めるのは、古典文法の助動詞を学習し終えてからの方がいいでしょう。ただ、漢文に必要な古文の文法は、それほど難しくはないので、最低限の活用と接続の知識があれば十分です。
漢文が苦手なのは学校で文法をやってないから
実際は覚える量が少なく、勉強しやすい科目であるにも関わらず、漢文が苦手な人は多いです。その原因のひとつは、学校の古典の授業内で、文法の体系的な指導がされていないからだと思います。
体系的な指導というのは、文法の単元ごとの指導のことです。
例えば、英語で「受け身」を表すのは、<be動詞+過去分詞形>ですね?中学生のときに学習します。では、漢文で「受け身」はどのように表しますか?
①助動詞を使う ②置き字を使う ③受け身の任免動詞を使う の3つを全て答えられた人は多くないでしょう。
学校では通常、漢文の体系的が学習はせず、漢文の文章を授業の題材として扱い、そこに出てくる文法事項を指導するのみです。
例えば、文の中に「咬於犬」というものが出てきたとき、これは「受け身」であると指導されますが、受け身の他の用法は指導されません。
このように、学校の授業のみでは、漢文を読むための文法知識が不足しています。漢文学習の参考書や問題集を使い、文法を学習する必要があります。
漢文の勉強法
オススメのテキストは以下の通りです。
・漢文句法マスタードリル
・漢文をはじめからていねいに
・漢文句形とキーワード
これらのテキストは、文法が体系的に整理されていて、文法が基礎的な内容から丁寧に説明されています。
このような文法のテキストにそって勉強を進めていきましょう。
重要単元
漢文の中で重要な単元は、再読文字、受け身、使役、否定、疑問・反語、の5つです。これらの文法単元は、文章中でも頻出で、しっかり覚えるべき文法構造です。先程の例の通り、受け身という文法単元の中でも複数の表現があります。単元ごとに整理し、問題演習を行いましょう。
読解演習
漢文の文法を一通り学習したら、読解演習に入ります。読解演習にオススメのテキストは、
・極める漢文 1
・センター試験過去問(赤本)
です。これらの読解問題は、設問の解説だけではなく、文章の和訳や背景知識も書かれていて、総合的な演習に向いています。