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化学 勉強法

化学 勉強法

理系学部を受ける受験生にとって、数学が重要なのは言うまでもありませんが、物理や化学といった理科も重要です。なぜなら多くの高校では履修するのが遅いにも関わらず、入試での配点が大きいからです。そのため、高校3年生の秋以降は、数学や英語よりも理科に多くの時間を費やすことになります。反面、理科は覚える内容が比較的少なく、短期間の問題演習で得点を伸ばすことも可能です。このように、理科は時期とその内容によって、受験勉強後半の伸びを決める要素になるため、きちんとした勉強法の理解とその戦略が大事なのです。この記事では、BROUTEで指導している内容をご紹介します。

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入試の試験範囲を確認しよう

まず、勉強を始める前に、受験する可能性のある大学の、入試科目を確認しましょう。
「理科」の科目は、「化学基礎」と「化学」等、基礎が付くものと付かないものがあります。科目名が違うものは勉強内容が異なりますので、まずは受験科目を調べ、選択する理科の科目を決めましょう。

私立大学の理工系学部の場合、多くの大学で「化学基礎・化学」というように指定されていて、「化学基礎」と「化学」の両方の科目を勉強する必要があります。
私立大学の医療系学部の場合は、「化学基礎・化学」か「物理基礎・化学基礎」というように、「基礎科目と発展科目のセット」または「基礎科目を2科目」という指定が多いです。
国立理系の場合、センター試験では「化学」のみになっている大学が多いです。しかし、2次試験では、私立大学と同様に「化学基礎・化学」となっていることが多く、いずれにしても両方の科目をやらなければいけません。
国立文系の場合、「化学」か「物理基礎・化学基礎」というように、「発展科目を1科目」または「基礎科目を2科目」という指定が多いです。

このように、受験する大学によって、多くの科目選択のパターンが考えられますので、無駄な範囲をやることがないよう、受験科目をしっかり調査し、受験勉強に臨みましょう。

単元紹介

化学分野の単元は大きく分けると、「理論化学」、「有機化学」、「無機化学」の3つです。出題される割合としては、理論化学50%、有機化学25%、無機化学25%くらいの割合です。基本的な原子の表し方や化学反応については理論化学の単元であるため、始めの単元が非常に重要です。

理論化学のうち、いくつかの小単元が「化学基礎」に該当し、有機化学や無機化学は「化学」に該当します。そのため、有機化学や無機化学について詳しく勉強するのは「化学」の選択者のみですね。

理論化学

理論化学は、原子や分子の構造、基本的性質、分類等に関する法則を学習する単元です。元素記号や化学式については中学理科で学習しましたが、さらに発展させて物質の量を計算します。
理論化学の単元は、さらに11個の小単元に分かれます。
1原子と元素の周期表、2化学結合、3物質量と濃度、4化学変化と化学反応式、5酸と塩基、中和、6酸化と還元、7物質の三態、8気体・液体の性質、9物質の変化と熱と光、10電池と電気分解、11化学反応と速さ、平衡
です。このうち、1,2,3,4,5,6の単元が化学基礎にあたります。

無機化学

無機化学は、元素ごとの性質や反応について学習する単元です。「無機」と単元名がついていますが、無機物というよりも、有機化合物以外の種々の元素について学習します。
無機化学の単元は、さらに4個の単元に分かれます。
1非金属元素、2典型金属元素、3遷移元素、4イオンの反応と分離
です。全て「化学」の範囲です。

有機化学

有機化学は、有機化合物について構造や性質、反応について学習する単元です。炭化水素は全て有機化合物ですから、非常に多くの種類の物質を学習することになります。
有機化学の単元は、さらに8個の単元に分かれます。
1有機化合物の構造、2脂肪族炭化水素、3酸素を含む脂肪族炭化水素、4芳香族炭化水素、5糖類、6アミノ酸とタンパク質、7合成樹脂、8合成繊維と天然繊維
です。無機化学と同様に、全て「化学」の範囲です。

化学の重要単元

化学で一番重要な単元は、やはり「理論化学」です。原子の構造やイオンの化学式での表し方は中学で学習しますが、肝心のイオンができる理由は発展的内容となっていて、中学では深く学習しません。この「理論化学」の単元では、原子や分子の構造とその理由、数量計算の仕方を詳しく学習します。特に重要なことが物質量の概念。物質量の単位は「mol」を使用しますが、この見慣れない単位をきちんと使えるかどうかが、化学の理解度を決めると言っても過言ではありません。

化学の勉強法

最低限の元素記号と周期表を覚える

化学には、「物質は化学式で表す」という万国共通のルールがあります。基本的な元素記号は中学のときに学習していますので、まずはそれをしっかり覚えましょう。
実際のところ、元素記号を覚えることはそれほど難しくありません。最低限のものを列挙しますので、完璧にしましょう。
H、He、C、N、O、Na、Mg、Al、Si、S、Cl、K、Ca、Fe、Cu、Zn、Ag、Pb

次に周期表です。周期表を全部覚える必要はありません。原子番号20のCaまでで十分です。これは「水兵リーベ…」という語呂合わせがありますので簡単に覚えられるでしょう。
ここで何よりも重要なことが、段が変わるところを覚える、ということです。周期表の一番右の列は希ガスという名前で呼ばれ、He、Ne、Ar 等が該当します。これらの順番が、イオンの構造に深く関わるため、段が変わるところは非常に重要なのです。

まずは「理論化学」の原子の構造から

化学の勉強は順序立てて行いましょう。上で書きましたが、化学において重要な単元は「理論化学」です。理科は積み重ねの教科なので、始めの単元から順に学習していきましょう。

高校化学の基本となるのは、周期表と原子の構造です。特に、最外殻電子の数によって、イオンの価数や共有結合の腕の本数が決まってきます。言うなれば、全ての反応の基本となる考え方なのです。教科書や参考書と問題集を併用し、用語を覚えたらすぐに問題を解くことで、用語の意味を身につけていきましょう。

物質量の計算は練習多く

化学の初めの方の単元で多くの生徒がつまずきやすい単元が物質量です。物質量とは、物質の量を示しています。
ボールなら1個、2個…、本なら1冊、2冊…、紙なら1枚、2枚…、鉛筆の箱なら1ダース、2ダース…というように、物の量を数えるには単位が必要ですね?原子の塊も同じように量を数える単位があります。それが「mol」です。
この1molは6×1023個を表しているのですが、ここがややこしく、多くの人がつまず
きやすいところです。
molが量の単位なのに、さらにその単位が個数なので、混乱しやすいのです。
これは、ダースという単位を考えると分かりやすくなります。
「ダース」は個数を表す単位で、1ダース=12個です。鉛筆が24本あったら、24÷12=2で2ダースです。
物質量のmolも同様です。
「mol」は個数を表す単位で、1mol=6×1023個です。原子が12×1023個あったら、(6×1023 )÷ (6×1023)=2で2molです。

molという単位は、化学反応式において重要な数値です。これまで扱っていない単元は、問題演習を多くこなすことで、単位の表記に慣れていきましょう。

参考書と問題集は必ずセット!

化学は物理と比べ、暗記しなければいけないことが多くあります。例えば元素記号や化学式はもちろんですが、元素記号の性質(色、臭い、重さ等)は暗記して覚えるしかありません。ですが、暗記事項だけでは得点は伸びないのも事実です。

化学では、「教科書の内容はしっかり覚えたのにテストが全然できなかった」ということが起こりえます。それは、問題演習が不足しているのです。
化学は理系教科です。暗記事項もありますが、式を立てて計算し、論理的に考えて答えを出すことが基本的な姿勢です。教科書や参考書で新しい事柄を覚えたら、すぐに問題集で問題を解き、その事柄をどのように活用するかを覚えていきましょう。

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