大学入試制度(一般)
大学入試制度(一般)
昨今の大学入試制度は非常に複雑で、「大学入試は情報戦」と言っても過言ではありません。2020年度の大学入試改革によって、入試の名称や制度が大きく変更されましたが、2025年度入試からは、学習指導要領の改訂に伴って、再度変更が予定されています。このページでは、国公立大学、私立大学のそれぞれの入試制度について、一般選抜の概要を掲載しています。志望校選びや受験勉強の一助として、入試制度の基本的事項を把握しておきましょう。
1.高校卒業後の進路概要

入試制度概要

一般選抜(旧称:一般入試)
高校での成績はほぼ関係なく、受験当日の試験の点数のみで合否が決まる入試です。いわゆる「普通の大学入試」。
・国公立大学 一般選抜
・私立大学 一般選抜
多くの大学では英語や数学、国語といった各教科の試験が実施されますが、学部・学科によってそれ以外の試験を実施することもあります。
(例)看護系の学部では面接、体育系や芸術系の学部では実技試験など
「一般選抜」という枠組みの中で、下記のような様々な入試制度が制定されています。
○各種入試制度
共通テスト利用入試(旧称:センター利用)、全学部統一入試、英語外部試験利用入試など
学校推薦型選抜(旧称:推薦入試)
高校での成績(評定平均値)に基いて学校からの推薦を受け、大学を受験する入試です。
<従来の指定校推薦、公募推薦が統合された入試方式>
従来と同様、指定校タイプの推薦と、公募タイプの推薦があります。
指定校タイプの推薦は、原則として私立大学のみで、公募タイプの推薦は、国公立・私立問わず多くの大学で実施されています。
評定基準や高校内選抜をクリアした後、大学の試験を受け合否が決まります。
総合型選抜(旧称:AO入試)
大学が求める生徒像との適合性をアピールする入試です。
入試の内容は大学によって様々な種類があり、小論文、プレゼンテーション、面接、グループ討論、学力試験などが実施されています。
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2.大学受験入試制度 一般選抜

国公立大学 一般選抜

共通テスト(旧称:センター試験)と2次試験の合計点で合否が決まる!
国公立大では原則として、1月に全国統一で行われる共通テストと、2~3月に大学ごとに行われる2次試験の合計点で合否が決まります。2次試験は「前期日程」と「後期日程」、そして「中期日程」(一部の公立大のみで実施)の組み合わせで、最大3回の受験が可能です。ただし、前期日程で合格し入学手続きをすると、後期日程(中期日程)を受験しても合格できない仕組みになっているので、第1志望校は前期日程で受験するのが基本です。 なお、前期日程と後期日程の募集定員を比較すると、前期日程の定員の方が多く、後期日程は難関大を中心に廃止・縮小の傾向が続いています。
共通テストと2次試験の配点比率は大学によって異なる!
国公立大の一般選抜の合否は、共通テストと2次試験の合計で決まります。ただし、どちらの点数を重視するかは、大学・学部によって異なります。共通テストと2次試験のどちらの対策をより重視すべきか、受験戦略にも影響が出てくるため、志望校の配点比率は事前に把握しておくことが大切です。
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2段階選抜(いわゆる「足切り」)って何?

2段階選抜 (足切り) とは、共通テストの点数によって2次試験への出願可否が決まる制度のことで、2次試験の受験者数が極端に多くならないようにするためのものです。共通テストで1段階目の選抜があり、ボーダーラインを超えた人だけが2次試験に出願できます。
例 ① 東京大学(文科一類)の入試制度
募集定員の3.0倍を超えたら2段階選抜を実施
【実際】(2023年度)定員:401人 出願者数:1237人 志願倍率:3.08 ボーダー得点:479/900 点  
例 ② 東京工業大学の入試制度
全学院で実施。共通テストの点数は2段階選抜の判定のみに用い、入試の合否は2次試験の点数のみで判定される。
2段階選抜を行う大学はそれほど多くありません。東大や医学部のような難関大学や、保健系学部のような2次試験で面接を実施するような大学のみ、この制度を取り入れています。

国立大学では6教科8科目以上、公立大学ではやや少なめ

共通テストでは、9割以上の国立大学が、6教科8科目を課し、公立大学でも約6割に上ります。6教科全ての対策を行うことは決して楽なことではありません。早めの対策が重要なのはもちろんですが、「どの時期にどの科目を勉強するか」という年間を通した計画も非常に重要です。 一方、2次試験では2~3科目が一般的で、特に後期日程の場合、小論文や面接、総合問題などを課す大学が多いのが特徴です。
大学入学共通テスト(旧称:センター試験)
独立行政法人「大学入試センター」が実施する試験で、毎年50万人前後が受験する日本最大規模の試験です。国公立大学の一般選抜受験者は、原則、共通テストを受験しなければなりません。また、多くの私立大学でも共通テストの成績が利用できる「共通テスト利用方式」を設定しています。
共通テスト 全体概要
試験日 2025年1月18日(土)地歴、公民、国語、英語            
     19日(日)理科、数学、情報
出願期間 9月下旬~10月上旬 各高校がとりまとめ、高校が出願する
<浪人生は各自で出願するため、出願し忘れないように注意。>
試験場所 各高校で近隣の試験会場を指定される
<日本大学生産工学部、日本大学理工学部、国際医療福祉大学、千葉大学、河合塾校舎 等>
解答方式 全科目マークシート方式
<解答は当日の21時頃公開され、受験生は自己採点を行うことができる>
科目別概要【自分に必要な科目のみ受験する】
教科 科目 試験時間 配点
国語 『国語』現代文 3問(110点)、古文1問 (45点)、漢文1問 (45点)で構成 90分 200点
外国語 『英語』リスニングは必須 リーディング80分
リスニング60分
リーディング100点
リスニング100点
地理
歴史
『歴史総合、日本史探究』、『歴史総合、世界史探究』、
『地理総合、地理探究』、 『地理総合、歴史総合、公共』
1科目60分 1科目100点
公民 『公共、政治・経済』、『公共、倫理』
数学 1 『数学Ⅰ・数学A』、『数学Ⅰ』 70分 100点
2 『数学Ⅱ・数学B・数学C』 70分 100点
理科 1 『物理基礎』、『化学基礎』、『生物基礎』、『地学基礎』 2科目60分 2科目100点
2 『物理』、『化学』、『生物』、『地学』 1科目60分 1科目100点
情報 『情報Ⅰ』 60分 100点

※外国語は「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」も選択可能。

共通テストはセンター試験から何が変わったの?
センター試験より難しいの?

大学入試改革によって、2021年度入試から大学入試制度が変更になり、「センター試験」から「大学入学共通テスト」へと切り替わりました。
形式的な変化としては、数学ⅠAの試験時間が60分から70分に延長され、英語のリスニングの配点がリーディングと同じになったという2点です。
問題傾向の変化としては、より学習指導要領の内容を意識したものになっていて、「主体的・対話的で深い学び」と「思考力・判断力・表現力」を重視した問題になっている、ということが挙げられます。
「思考力を測る」という観点から、本質的な理解を問う問題が多くなりました。例えば数学では、これまで定理や公式を使って計算できれば得点できましたが、共通テストでは、定理や公式がなぜ成り立つのか、どのような条件で使用できるのか、といったことまで理解していないと解けない問題になっています。また、「対話的」という視点から、どの科目でも問題文が膨大な量になり、これまで以上に「時間との勝負」である試験になりました。
「膨大な問題量を時間内に解ききる」ことが必要であり、「思考力」の他に、極めて高度な「情報処理能力」も求められている試験だと言え、センター試験より難しい試験だと言えます。

私立大学 一般選抜

3教科が基本。配点は大学・学部・学科で異なる!
私立大の一般選抜は、3教科が基本です。文系学部では英語、国語のほか地歴・公民や数学から1科目選択、理系学部では英語、数学、理科というパターンが一般的です。配点は大学・学部・学科によってさまざまで、全科目同じ配点の場合もあれば、特定科目の配点を高くしているケースもあります。解答形式はマークシート方式と記述式があり、大学・学部・学科によって異なります。
入試科目と配点の例 ※下記はすべて一般方式の例
大学 学部学科 科目と配点
早稲田大学 政治経済学部 英語(25)、国語(25)、数ⅠA(25)、地歴・公民・数ⅡBC・理科・情報から1(25)、 総合問題(100) 
(このうち、総合問題以外の教科は共通テスト)
法学部 英語(60)、国語(50)、世界史探究・日本史探究・政経・数ⅠAⅡBC から1(40)
                           (数学は共通テスト)
文化構想学部 英語(75)、国語(75)、世界史探究・日本史探究から1(50)
基幹理工学部 英語(120)、数学ⅠAⅡBⅢC(120)、「物基、物理、化基、化学」 (120)
明治大学 文学部 英語(100)、国語(100)、「歴史総合、世界史探究」・「歴史総合、日本史探究」・
・「地理総合、地理探究」 から1(100)
政治経済学部 英語(150)、国語(100)、「歴史総合、世界史探究」・「歴史総合、日本史探究」・
・「地理総合、地理探究」・「公共、政治・経済」・数ⅠAⅡBC から1(100)
理工学部 英語(120)、数学ⅠAⅡBⅢC(120)、「物基、物理」・「化基、化学」 から1(120)
日本大学芸術学部
美術学科
実技・面接 (計300)
科目選択に注意!
私立大学に限らず、国公立大学にも言えることですが、一般選抜の科目選択は非常に多岐に渡っています。 大学・学部・学科によって大きく異なりますので、受験科目を決める際には、自分が受ける可能性のある様々な大学の入試科目を調べてから決める必要があります。  早い段階から勉強する科目を絞ってしまうと、志望校選択の幅を狭めてしまうことにもなるため、科目の絞り込みすぎには注意が必要です。
考慮すべき選択科目の注意点 ※下記はあくまで全体的な傾向であり、個々の大学については必ず募集要項を参照
教科 注意点 大学例など
国語 漢文が必要か
古文が必要か
・国公立、早慶レベル、文学部系は漢文が必要
・社会学部系、経済・経営学部系は漢文不要
・保健(医療)学部系は古文不要
英語 リスニングが必要か ・外国語系学部はリスニングあり
数学 数ⅢCまでか
数ⅡB、数ⅠAまでか
・理工系学部は数ⅢCまで必要
・経済学部、農学部、保健学部系は数ⅡBまでの大学が多いが、
 共通テストの科目範囲に合わせて数Cが必要な大学もある
・薬学部は数ⅢCまでの大学と、数ⅡBまでの大学がある
社会 歴史総合は含むか
地理、政経が
使えるか
・日本史探究、世界史探究はほとんどの大学で使える
・歴史総合も試験科目にする大学も多くある
 (『日本史探究』という単独科目か、『歴史総合・日本史探究』という複合科目か)
・地理、政治・経済は使えない大学も多くある
理科 科目数は1か2か ・早慶レベルは2科目(物理、化学が多い)
・理科大レベル以下は1科目
その他 必要か ・小論文、面接、グループ討論、プレゼンテーション、適性検査、実技試験などがあるか。
・その対策が可能か。
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