【佐倉 塾】偏差値の上げ方②

query_builder 2023/05/19
大学入試トピックス 勉強法コラム 日々のニュース 塾長ブログ

こんにちは! 佐倉高校生専門塾BROUTEの青木です。  


前回、「学力偏差値」の生まれた経緯と、その効用について書きました。今回は、偏差値についてのよくある誤解についてまとめます。


偏差値とは

偏差値とは

「偏差値」とは、 「あるテストを受けた集団の中での、自分の位置を示す指標」です。

平均点をとった人の偏差値を50として、50よりどれくらい高いか低いかを数値で表すことができます。


偏差値の概念のメリット

テストの点数の分析に偏差値を導入することで、いくつもの利点があります。

・テストを受けた集団の中での、自分の位置が数値で分かる。

・異なるテスト(異なる教科や異なる実施時期)であっても比較できる。

・テストごとの誤差をなくせる。

・入試の合格可能性を計算できる。


偏差値を使うと、科学的・合理的根拠をもって、入試の合格判定ができるのです。


偏差値の考え方がうまく機能しない場合

標準正規分布

上のようなメリットがある偏差値の考え方ですが、これがうまく機能しない場合もあります。

それは、元のデータが「標準正規分布」に従わない場合です。


標準正規分布とは、数学の用語で、下のグラフがきれいに描けるデータの分布のことです。




このデータの分布になっている場合、偏差値とデータの個数を関連付けることができます。

例えば、偏差値75以上の人は0.62%であり、50万人が受けたテストでは3100人である、という数字が出せます。


これを大学の募集定員と比較することで、大学の基準値を決めることができます。


うまく機能しない場合

しかし、元のデータ(テストの点数)が標準正規分布に従わない場合、偏差値の考え方がうまく機能しません。 例えば、次のような点数分布の場合です。 19人のテストの点数が、

90点 1人
80点 2人
70点 4人
60点 2人
50点 1人
40点 2人
30点 4人
20点 2人
10点 1人


このような分布の場合、下のような2つの山のグラフができます。 明らかに、標準正規分布のグラフと違いますよね?この場合、偏差値は計算できますが、「偏差値〇〇以上は何人」という人数の計算はできません。



偏差値は目安

以上のように、偏差値の考え方は有効ですが、限界もあります。

標準正規分布では、データの値の上限値・下限値はありません。無限大に大きい数まで考慮します。

しかし、テストは普通、上限100点、下限0点なので、この時点で標準正規分布からは少し外れます。


本来は物理学や医学に使う統計の考え方を、テストに当てはめたものなので、これはしょうがないことです。

つまり、偏差値は万能ではなく、目安として使うものだ、ということです。


よくある誤解

誤解1:偏差値は実力を示している

違います。

偏差値が表しているのは、「あるテストを受けた集団の中での、自分の位置」です。実力そのものを示すわけではありません。

実力とは、「共通テストの英語の筆記で◯◯点取れる」というような数値で表せます。

「共通テストで120点」だとしても、高3の母集団と高2の母集団では異なる偏差値になります。


誤解2:勉強すれば、実力も偏差値も上がる

違います。

確かに、勉強すれば実力は上がります。

例えば、単語、文法、読解の練習を積んでいけば、共通テストの英語で取れる得点は上がるでしょう。


しかし、偏差値が上がるかどうかは分かりません。

なぜなら偏差値は周りの人との比較だからです。


例えば、1ヶ月間、単語や文法を勉強して、共通テストの英語の得点が110点から120点に10点上がったとします。10点分の実力がついたわけです。

しかし、周りの人がもっと頑張っていて、20点分伸ばしていたとしましょう。

すると、自分は10点分の伸び、周りの人は20点分の伸びとなり、周りの人と比べて点数の伸びが少ない、ということになります。

この場合、偏差値は下がります。 偏差値は周りの人との比較だからです。


誤解3:偏差値を3くらい上げるのは簡単

簡単ではありません。

偏差値は周りの人との比較なので、偏差値を上げるためには、周りの人の伸び率を超えるような伸び率が必要です。

特に、高3の秋以降で偏差値を伸ばすのは、なかなか難しい。

みんな必死に勉強しているからです。

ライバルがみんな10時間勉強していたらどうですか?偏差値を上げるためには、周りの人の伸び率を越さないといけません。自分が10時間以上勉強するか、特に効率のいい勉強になるように質を高めるか、どちらかです。


誤解4:偏差値を20以上、上げるのは無理

偏差値を上げるのは簡単ではありませんが、20アップが不可能というわけではありません。

実際、私が以前勤めていた、トライプラス鎌取駅前校の卒業生には、入塾時偏差値33から、偏差値52.5の大学に合格した生徒もいます。


下記の条件に当てはまる場合、偏差値の大幅アップが可能です。

・今まで全く勉強していなかった科目を始める場合(その教科のみ) <特に社会>

・高校3年生の春から初夏にかけて

・各教科の基本事項が全て身について、総合演習を進める段階

・他の人が休んでいる時期に、自分だけ勉強を進めた場合


誤解5:数種類の模試の偏差値を同列に考える

偏差値は、主に模試によって測定できますが、模試の種類や実施団体はいくつかあります。

模試の種類(マーク式か記述式か)や実施団体(全統模試、駿台・ベネッセ模試、東進模試、進研模試など)によって、その成績は大きく異なると思います。

それらを同一に扱うべきではありません。


例えば、進研模試と駿台模試。

進研模試はベネッセが各高校に卸している模試です。そのため、現役生しか受験していません。模試の受験者の中には、推薦しか考えておらず、一般受験の勉強に対してやる気のない生徒も混じっています。

それに対して駿台模試は、浪人生の受験者が多いことで知られています。浪人生が交じると、全体のレベルは高くなります。

進研模試と駿台模試では、母集団のレベルが違います。

進研模試で偏差値55、駿台模試で偏差値45と出る可能性もあります。このように、タイプが違う模試を同列に扱うべきではありません。


次回、偏差値の計算の仕方と偏差値の上げ方についてまとめます。


----------------------------------------------------------------------

佐倉高校生専門塾 BROUTE

住所:千葉県佐倉市鍋山町36-16

----------------------------------------------------------------------