【佐倉 塾】大学受験の一般選抜の今昔② <入学定員厳格化>

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大学入試トピックス 進路情報 塾長ブログ

こんにちは! 佐倉高校生専門塾BROUTEの青木です。  


本日は、前回に引き続き、大学入学定員の厳格化について書きたいと思います。

入学定員の厳格化

入学定員厳格化の概要

元々私立大学では、多くの受験生が他の大学と併願するため、入学定員よりも大幅に多い合格者を出していました。


例えば、100人定員のところ、500人くらいの合格者を出し、合格者が他に流れて最終的に120人くらい入学する、という感じです。

しかし、ここで問題になるのが若者の数。

東京など大学が多く集まる都心にばかり若者が集まってしまうと、地方に進む若者が少なくなり、地方が衰退してしまうのです。


それを防ぐため、2016年度入試から入学定員を大幅に超えた大学には、国から出る私学助成金をカットする、というルールが作られました。


現在のルール

2023年度入試以降で適用されるルールとしては、

「大規模校で大学生の新1~4年生の学生数が、大学全体の定員の1.1倍を超えた場合、助成金なし」

というものです。


2018年度までは段階的に引き下げられ、2019年度入試から、「大規模校で入学定員の1.1倍を超えた入学者がいる場合、助成金なし」という基準でした。

現在はある程度の効果が出てきて、かつコロナ禍による生活様式の変化によって、ルールがやや緩和されました。

入学定員厳格化の影響、問題点

厳格化の影響① 合格者数

このルールによる影響としては、何と言っても合格者の数が減ったことです。


実際に2016年度と2019年度の合格者数を比較すると、東京にメインキャンパスを持つ大学ではのべ4万人以上が減っています。

早慶上理、GMARCH、日東駒専といった、名の通っている大規模校では、大幅に合格者数が削減されています。

やはり、私立大学は学校経営のために、助成金を必要としているのだと思います。

合格者が減ったことで、一般入試では「受かりにくくなった」と言えます。


厳格化の影響② 安全志向

①に関連して起こる影響が、「安全志向が高まる」ということです。

上記の通り、合格者数が減ったことで一般入試では受かりにくくなったので、滑り止めとなるワンランク下のレベルの大学を多く受けるようになります。

早慶上理の滑り止めのGMARCH、GMARCHの滑り止めの日東駒専、日東駒専の滑り止めの大東亜帝国というように、滑り止めの大学の倍率が上がってしまう連鎖反応が起きています。


また、2020年に行われた大学入試改革では、センター試験に代わって共通テストが始まりました。2021年度入試の年からはコロナ禍でもあり、この2つの出来事でより安全志向が高まりました。


影響③ 難易度の異変

①、②に関連して起こる影響が、「大学入試難易度の異変」です。


合格者数が減ったことにより、倍率が高まります。その結果安全志向になり、受験生一人あたりの受験校が増え、さらに倍率が高まります。

大学入試改革やコロナ禍による社会不安も影響し、従来の大学入試の難易度からすると考えられないような倍率になる大学も珍しくありません。

大東亜帝国レベルのとある大学の後期入試では、72倍になったこともあります。


極端に倍率が高くなると、当然そこに合格する受験生も高いレベルの受験生となるので、見かけ上の入試難易度(偏差値)も急激に上がります。


そうすると、従来の大学のレベル感から突出する大学があったり、模試でA判定だったのに落ちてしまったりと、従来の難易度では測定できないような出来事もあります。

影響④ 補欠合格

4つ目の影響としては、大学側が入学定員を超えてしまわないように調整しながら合格者を出すため、「補欠合格」が多くなっていることです。


レベルが高い大学の合否によって、その下のレベルに入学するかを決める人が多いため、ピラミッドの上から崩れてくるような形になります。現象としては、GMARCHなどの上位校の合格者が決まった後に、その下のレベルの大学の合格者が決まってきます。

大学側は、定員を超えないように、かつ、きちんと満たせるように、「補欠合格」として合格候補者を残しておくのです。

日東駒専のような大規模校では、第4次補欠くらいまで候補になっています。補欠合格の繰り上げを待たなければならず、入学金などの経済的負担や、心理的負担も大きなものです。 過去の例では、3月30日に繰り上げ合格になった生徒もいました。


入学定員厳格化の問題点と今後の状況

入学定員厳格化の問題点

入学定員厳格化の問題点としては、上記の影響④で書いた通り、受験生や家庭の負担が大きいことです。


大規模校では合格者数調整のために、補欠合格を出すのが近年のスタンダードになっていて、補欠合格に認定された場合、当初設定されている合格発表日に結果が分からないことも多いです。

私立大学の後期日程は3月上旬にあるため、3月中旬になっても進路が決まらない(補欠合格が繰り上がるのか分からない)受験生もいます。

高校の卒業式を終えても進路が決まらない状況は、かなりの心理的負担となるでしょう。


また、補欠合格の発表が遅い場合、滑り止めとなる別の大学に入学金を払わなければいけないような日程になることも多くあります。

入学金は20万~30万円程であり、複数の大学が重なると、大きな出費となってしまいます。


このような問題もあり、ルールがやや緩和されました。

今後の入学定員

2023年度入試は、ルールの緩和によって全国的に補欠合格者が少なくなりました。

コロナ禍によって2~4年生の学生数は減っていたと思いますが、コロナ以前の大学生も中退、留年、休学するような人は存在していたと思います。そのため、入学の年だけでなく、大学全体に定員の計算を広げたのは、見かけ以上に大きな緩和だったのかもしれません。


補欠合格の数が減ったことにより、問題となっていた心理的負担や経済的負担は少なくなったと言えそうです。


ただし、大学入試の難易度としては依然として厳しい状況が続くと思います。

ルールがやや緩和されたとはいえ、合格者数にはまだ制限があり、2015年のような合格者数に戻ることはありません。

そのため、受験生一人あたりの受験校も大きく減ることはないでしょう。

倍率も高いまま続くと思われ、大学入試の難易度としては厳しい状況が続くと思います。

まとめ

大学入試の難易度を大きく変えた「入学定員の厳格化」のルール。

2023年度入試からルールが緩和され、補欠合格は減ったものの、一般選抜が厳しい状況は今後も続くと思います。

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