【佐倉 塾】偏差値の計算方法

query_builder 2023/05/29
塾長ブログ

こんにちは! 佐倉高校生専門塾BROUTEの青木です。  


先週のブログ記事で、偏差値について書きました。

ブログの概要としては、「偏差値」が何を示しているか、ということを書いたものです。その中で、「偏差値」は周りの人との比較である、ということに触れましたが、今回の記事ではその計算方法を書きたいと思います。


複雑な数式計算がありますので、数学に興味がない人は飛ばしてもらってもいいですが、受験で数学ⅠAを使う高校生の方は読んだほうがいいと思います。

この内容は、数学ⅠAの「データの分析」の単元に出てくるものだからです。


点数比較

たかし君、しょうた君の2人がテストを受けたとします。

たかし君がAというテストで80点、しょうた君がBというテストで70点だったとします。

この2人のどちらの方が頭がいいでしょうか?


平均は?

もちろんこれだけでは決められません。

違うテストを受けているからです。


では、たかし君が受けたAというテストも、しょうた君が受けたBというテストも、どちらも平均点が50点だったとしたら、どうでしょうか?

この2人のどちらの方が頭がいいでしょうか?


決められない

実は、点数と平均点だけでは決められません。

同じ平均点だったとしても、他の人の点数によって、テストの傾向が違ってくるからです。


例えば、50点が平均点だったテスト。

クラスの40人がテストを受けたとして、38人が50点、1人が60点、1人が40だったとします。

この60点とった生徒は、クラスで1位の点数です。


他のテストで、同じく平均点が50点のテスト。

クラスの40人中、19人が90点、19人が10点、1人が80点、1人が20点だったとします。

この80点とった生徒は、クラスで20位の点数です。


40人中、1位の60点と20位の80点。 どちらの方が価値が高いのでしょうか?

こうなってくると、点数と平均点だけでは決められない、ということにイメージが湧くと思います。


散らばり具合

上に例に出した2つの例では、テストの得点の「散らばり具合」が違っていました。


40人中38人が同じ点数を取るテストは、得点がかなり密集しています。「散らばり具合」は小さいと言えます。

40人中19人ずつが90点と10点を取るようなテストは、得点が広がっています。「散らばり具合」は大きいと言えます。


この「散らばり具合」をもっと的確に表すにはどうすればいいでしょうか?


分散

それを数値で計算できるようにした考えが「分散」です。

分散は次の計算で表されます。


分散:偏差の2乗の和の平均


ここで、偏差とは、平均点からの差です。

例えば、平均点が50点のテストにおいて、70点の得点だったら、偏差は20です。

今、得点の「散らばり具合」を調べたいので、平均点からの差を計算するのです。


しかしここで、ただ単に偏差を足しただけでは、プラスのずれとマイナスのずれが打ち消し合ってしまいます。

(そもそも、プラスのずれとマイナスのずれが0になるような値が平均値です。)

プラスのずれもマイナスのずれも、両方とも「プラス」でカウントしたいのです。

そこで、マイナスをプラスに変えるために、2乗します。

その2乗和の平均をとったものが「分散」です。


これが、データの「散らばり具合」を表しています。


標準偏差

しかし、分散は2乗された値なので、もとの数値とは異なる意味になってきてしまいます。

例えば、長さ(m)の「散らばり具合」を考えたいのに、2乗した値では面積(m^2)の散らばり具合を調べることになってしまいます。

それを修正するため、「分散」の値のルートをとります。


「分散」の値のルートをとったものを、「標準偏差」と言い、これもデータの「散らばり具合」を表しています。


「標準偏差」は数学記号でσ(シグマ)で表します。 データの分布が正規分布に従う場合、平均点から±σはなれた範囲までに、約68%のデータが収まります。


偏差値

「標準偏差」をもとにして、ある値が平均値からどれくらい離れたところに位置するか、を表したものが偏差値です。

偏差値の計算は以下の通りです。


偏差値:(ある値―平均値)÷標準偏差 ×10 +50


数学的に意味のある部分は、(ある値―平均値)÷標準偏差 のところだけです。

数値が小さすぎるので10倍し、日常的な数値に合わせるために50を足しています。


偏差値を計算することにより、平均値からどれくらい離れたところに位置するかを数値で知ることができるのです。


実際の計算

先程の、たかし君としょうた君の偏差値を出してみましょう。


たかし君の受けたAというテストは、標準偏差が25だったとします。

平均点が50点、たかし君の得点は80点ですから、

(80―50)÷25 ×10 +50 =62

たかし君の偏差値は62です。


しょうた君の受けたBというテストは、標準偏差が10だったとします。

平均点が50点、しょうた君の得点は70点ですから、

(70―50)÷10 ×10 +50 =70

しょうた君の偏差値は70です。


見かけ上は、たかし君の方がしょうた君より高い点数でしたが、偏差値では、しょうた君の方が高いということが分かりました。


入試では

数学ⅠAの「データの分析」の単元では、このような標準偏差の計算は頻出です。分散と標準偏差の計算は必ずできるようにしたいところです。

さらに、それを応用した「相関係数」もよく出題されています。


「偏差値」そのものは、教科書内でも発展的な内容であるため、入試には出ませんが、偏差値の考えは出題されます。

偏差値の考えを使ったほぼ同じ計算は、2019年度のセンター試験で出題され、同年の河合模試では偏差値と全く同じ計算の出題がありました。


データの分析の単元の中で非常に重要な計算です。必ずできるようになりましょう!


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