【佐倉 塾】大学受験の一般選抜の今昔① <入学定員厳格化>
こんにちは! 佐倉高校生専門塾BROUTEの青木です。
本日は、大学入試の入学定員厳格化について書きたいと思います。
2016年から行われている入学定員厳格化。
現在、そのルールは緩和されていますが、依然その影響は残っています。
大学の定員厳守のルール
大学の定員
当たり前ですが、各大学には定員があります。
通常、学部や学科ごとに新入生の受入人数が決まっていて、そこからさらに入試方式ごとに定員が定められています。
例えば、立教大学の法学部。
大学全体の新入生の総数は約4,500人です。 そのうち法学部は585人で、さらにその中の法学科は360人の定員です。
この360人の定員のうち、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜でのそれぞれの入学者がいます。
一般選抜では、一般入試が183人、共通テスト利用入試が32人。総合型選抜(立教大学では自由選抜という名称)で8人。その他、学校推薦型選抜(高校からの指定校推薦)や系列校からの内部進学者を合わせて、360人となります。
従来、私立大学は定員超過が当たり前
立教大学法学部の法学科の場合、一般入試の定員は215人です。しかし、実際の合格者はこれよりずっと多い、のべ778人です。(20223年度入試)
このようなことが起こるのは、「受験生が複数の私立大学を受験する」からです。
ほとんどの受験生は、複数の大学に出願します。自分のレベルと比較し、挑戦校、実力相応校、安全校の3段階のレベルの大学を受けることが多いですね。現在はいろいろな入試方式があるため、受験生一人あたりの出願数が10~15程度が一般的です。
そのため、より志望度が高い大学に受かった場合、合格した下位の大学は「蹴る」(合格しても入学しない)ことになります。
大学側から見ると、合格者のうち何割かは他の大学に行ってしまう可能性があるわけですから、定員より多くの合格者を出さないと、最終的に定員割れになってしまうのです。
定員超過は私立大学が顕著
上記のように、私立大学では定員超過が当たり前ですが、国公立大学では定員より大幅に合格者が多い、ということはありません。
なぜなら、合格者のほとんどは入学するからです。
国公立大学は学費が安く、国公立大学を受験した人のほとんどは第一志望だと思います。そのため、合格者を定員より多くする必要がないのですね。
文部科学省の通達
このように、従来から私立大学では定員超過が当たり前なのですが、2015年、文部科学省から各大学に通達がありました。
それは、「実際に入学する新入生の数が、元々の定員より大幅に超過しないように。」というものです。
私立大学には、国からの私立大学助成金が出されていますが、定員超過の割合に応じて私立大学助成金の交付額がカットされるのです。
大学全体の定員数が8,000人以上の大規模校では、
2015年度 1.20倍以上で不交付
2016年度 1.17倍以上で不交付
2017年度 1.14倍以上で不交付
2018年度 1.10倍以上で不交付
と、段階的に基準が厳しくなっています。
定員超過の場合の助成金カットという、このルールによって、私立大学は合格者の数を抑えるようになりました。
ルールの背景
このような定員超過のルールができた背景には、大学生の数と、「地方創生」の考えがあります。
大学生の割合
2015年度、東京都からの大学進学者は約64,300人で、全国の合計と比べると、12.4%にあたります。
しかし、東京都内にある大学入学者数は約149,000人で、全国と比べると、24.1%です。
日本全国の大学生のうち、「ほぼ4人に1人が東京の大学生」という状況です。
この状況は、都内の大学の定員数が多いために起こる現象ですが、東京都には大学の数そのものが多くあります。また、大学だけでなく、専門学校などの各種教育機関も多くありますね。
地方創生
産業が集まるところに人は集まり、人が集まるところに産業は集まります。実際、教育機関だけでなく、あらゆる産業が東京に集中していると思います。
東京の大学に進学した学生の多くは、東京で就職します。地方出身の学生で、高校時代は地方に戻る意思はあっても、その人が求める産業が東京に多ければ、東京で就職することも多くあります。
結果として、地方での産業の衰退に繋がってしまうのです。
現在地方では、少子化の影響で人手不足に悩んでいる産業が多くあります。特に農業や漁業などの第一次産業へのなり手が少なく、産業の継続さえ厳しいとされるものもあります。
そうした中で、都市圏にある大学の定員超過を厳格化したり、大学新設を認めなかったりと、都市圏に流れる大学生の数を抑制する政策が進められてきました。 同時に、地方大学の魅力を増やし、奨学金の制度を整えるなど、地方の大学生を増やす取り組みも進められています。
ルールの緩和
新しいルール
2018年度以降に行われていた入学定員厳格化のルールですが、2023年度入試からそのルールが緩和されました。
これまでのルールでは、
「新1年生として入学する定員の1.1倍を超えると助成金カット」
というものでしたが、2023年度入試からは、
「大学1~4年生までの全体の人数が、全体の定員の1.1倍を超えると助成金カット」
に変更されました。
入学者の1年生の人数だけでなく、大学全体の人数で計算するようになるということです。
入学定員厳格化に効果あり
ルールが緩和された理由のひとつが、これまでのルールで効果があったとされることです。
3大都市圏に学生が集中しすぎないように、また、地方が活性化するように定められたこのルールですが、各私立大学が合格者を抑制したため、都市圏全体での学生は少なくなったようです。
これまでの厳しいルールである程度の効果があったため、ルールを少し緩和するようです。
コロナの影響
ルール緩和の理由として、コロナの影響も考えられます。
2020年から世界的に新型コロナウイルス感染症が流行しましたが、その年に大学に入学した世代は、2023年現在大学4年生になっているはずです。
入学した4月から大学は休校で、大学の授業が再開してもすべてオンライン。大学の友達も作れず、同級生と初めて会ったのが2年生になってからだった、という学生も多いです。このように、活動的な学生生活を夢見て大学に入ったものの、現実的に困難で、大学を休学した人もいます。
そうすると、2023年の新入生がやや多い人数でも、大学全体で見れば定員内に収まることも考えられます。
また、コロナ禍でオンライン授業が広まったことにより、大学の授業も「必ず教室に一同会して、一斉授業でなければならない」という価値観も薄れ、都市圏に若者が集中することも解消されてきたと思います。
問題点とルール緩和
以上、ここまで大学入学定員の厳格化と、その背景について書きました。次回、このルールの引き起こした問題点と、ルール緩和によってどう変わっていくか書きたいと思います。
佐倉高校生専門塾 BROUTE
住所:千葉県佐倉市鍋山町36-16
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