【佐倉　塾】漢文って必要？ | 佐倉の大学受験なら佐倉高校生専門塾 BROUTE | ブログ

高校生に向けて行われたあるアンケートによると、「漢文の勉強が好き・やや好き」と答えた人は約20％。「漢文の勉強は嫌い・やや嫌い」と答えた人は約30％。残りの約50％は、「どちらでもない」と答えています。

このアンケートで、英語や数学は好き嫌いがもっとはっきり別れました。英語や数学では、「どちらでもない」と答えた人は、それぞれ20％程度でした。

漢文に関しては、学校で習う量が少なく、高校生にとって関心が薄い、ということが分かります。

高校生にとって関心が薄い、ということの理由は、やはり受験科目が影響していると思います。

大学受験の一般入試において、漢文が必要な受験生は、実はそれほど多くはありません。漢文が入試で出題されるのは、以下の通りです。

・共通テスト（旧　センター試験）

・一般入試（早慶レベルの文系学部）

・一般入試（GMARCHレベルの文学部系）

この内、多くの国公立大学は共通テストで「国語」の全範囲が指定されているので、現代文も古文も漢文も受験科目となっています。国公立大学では、理系学部・文系学部を問わず、「国語」の全範囲が指定されていることが多いです。 　

しかし、私立大学で漢文が指定されていることは稀です。上記のように、文学部系の学部で出題がありますが、社会系の学部（法、経済、経営、社会学部など）や英語系の学部（外国語学部や国際学部など）では、出題されません。共通テスト利用入試においても、漢文の大問は除外されていることがほとんどです。   　

このように、大学受験で漢文を使う人はかなり少ないのです。そのため、高校生の関心は、他の受験科目に向きやすく、漢文についてはあまり興味がない、という人が多いのだと思います。

漢文とは、古代の中国の文章を学習する科目です。

「日本人の我々が、なぜ中国の昔の文を読まねばならないのか…」と疑問に思うかもしれませんが、実は漢文というものは、江戸時代までの武士の教養の一つでした。

漢文の文章の多くは、古代中国の中でも「知識人」に向けて書かれたものです。古代中国の庶民の識字率は低かったため、漢文の読者は「知識人」、つまりは統治者である「君主」とその「臣下」だったということです。

　そのため、漢文の文章内容は、「政治のあり方」について書かれているものが多く、他には「個人のあり方」や「学問への姿勢」、「道徳に関する主張」等、教訓のような内容が書かれています。これらの文章を正確に読み、内容について議論することが、江戸時代までの武士の間で行われていたのです。 　

また、中国は漢字の発祥の地であり、現在私たちが使っている漢字や言葉、四字熟語も中国に由来するものが多くあります。そのような由来を知ることで、今の教養を深められるのが漢文なのです。

漢文学習の基礎の基礎にあたるものは中学国語です。

中学の国語では、漢文に関しての返り点について学習します。漢文は古代中国語ですから、日本語とは文字の読む順番が異なります。それを日本語と同じ順番で読めるように指示する記号が返り点です。  

例えば…

日本語で「私はあなたを愛しています。」という文章は、主語＋目的語＋述語動詞で構成されています。英語学習で使う記号を用いると、「SOV」です。

この文の意味を表す中国語は「我愛你」です。（ちなみに読み方はウォーアイニー）

漢字の意味からなんとなく分かるかと思いますが、この文章は主語＋動詞＋目的語となっています。英語学習で使う記号を用いると、「SVO」です。 　

日本語とは、言葉の順番が違うので、返り点で順番を変える必要があるということですね。   ちなみに、同じ意味の英語は「I love you.」で「SVO」の構成です。中国語の文法は、日本語よりも英語に近いと言えますね。

漢文の学習は、他の教科にはない、独特のおもしろさがあります。 　

上に書きましたが、漢文は元々「知識人」に向けて書かれたものです。そのストーリーが練られながら教訓が増え、昔の教養となりました。漢文学習のおもしろさは、偉人伝や昔話に通じるものがあり、例えるなら、ドキュメンタリーに近い感覚です。   　

そのおもしろさを知るため、オススメのテキストがあります。

『文脈で学ぶ　　漢文　句形とキーワード』　Z会出版  

よくある文章展開や、人物エピソードなども書かれていて、非常に読みやすい教材です。 ぜひご覧ください！